浅田次郎『日輪の遺産』感想考察あらすじ 国の誇りを掘り起こせ

小説

こんにちは、はじめましての方ははじめまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。

今回紹介するのはこちら!浅田次郎先生の『日輪の遺産』です!!

連続で浅田次郎作品の紹介となりました。好きなので許してちょんまげ。

ひとことでいえば、WW2のころにマッカーサーから盗んだ財宝を隠す物語と、現代でそれを探し出す物語。重大なテーマが隠されているように感じる作品です!

それでは早速参りましょう!

『日輪の遺産』の登場人物やあらすじ、内容は?

浅田次郎作品は、過去の時間軸と現在の時間軸が平行に進んでいくことがよくあります。今回は過去(WW2期)と現在で分けて紹介します。

登場人物 現在

主人公 丹羽明人

現在の時間軸における主人公は、地上げ屋の丹羽明人。

バブル崩壊のあおりを受けて苦労している折、競馬の帰りに吞み屋で真柴と名乗る老人に出会います。

そこで老人から受け取った手帳には、なんとマッカーサーから奪い取った巨額の財宝が隠されていると書かれているではありませんか。

そんなうまい話があるかと疑いながらも、そのお宝について彼が調べ始める形で物語が進みます。

海老沢

主人公の相棒的な立ち位置です。真柴老人の世話をしていた中年男。丹羽とともに財宝の秘密を追います。

金原

大金持ちの嫌味なおじ様。後半に驚きをもたらしてくれます。

登場人物 過去

主人公 真柴少佐

過去における主人公ポジションは真柴少佐です。そうですこの人が、後に丹羽明人と出会う真柴老人です。

近衛師団に所属する軍人。陸軍大臣阿南惟幾や参謀総長梅津美治郎らをはじめとする、軍のトップからマッカーサーの財宝を隠す極秘の任務を言い渡されます

小泉主計中尉

東京帝国大学主席卒業のエリート官僚。財宝が軍の財政にかかわることもあり、任務に参加。

うらなりと揶揄されることもありますがご安心ください、やるときはやる男です。

曹長

中国での戦争を長く経験している歴戦の曹長。輜重兵としての経験から、真柴少佐の運転係となります。

田舎出身で粗暴なふるまいやもや言動も見られますが、まさに「星の数より飯の数」で一目置かれています。

そんな彼がまた泣かせることを言うんですよね~。

女学校のひとびと

女学校のあるクラスが、そうと知らずに財宝秘匿作業につきます。

そのクラスの担任が英語教師の野口先生。級長が、体は弱い者の頭の切れる久枝。

ほかにも個性的な生徒たちが、多くものを考え始める思春期のこころで自分たちの運命について話し合い、行動していきます。

あらすじ、内容

金策に走り回るなか、一発逆転を目指して競馬をすることにした丹羽明人は呑み屋で泥酔した老人真柴に出会います。

そこで老人から渡された手帳にはマッカーサーの財宝が隠されていることが書かれています。

それが正しいのか妄想に過ぎないのか判断することができずにいると、身寄りのない真柴老人の葬儀に立ち会ってほしいとの依頼が。

お人好しなのもあり承諾するとそこで海老沢と出会い、彼と話しているうちに財宝について調べようということになります。

ここから時代を行ったり来たりしながら、お宝についての情報が少しずつ明らかになっていきます。

真柴少佐、小泉中尉、軍曹は、WW2も最終局面を迎えようとする中で、最後の猛攻のための資金としてマッカーサーから奪った財宝の秘匿を命じられます

小泉中尉はその財宝でなにができるのかを持ち前の頭脳で予測、計算し、軍曹はモーゼルとトラックを使いこなし、田舎の農民の代弁者としての性格も見せます。

そんなふたりの助けをかりながら、米軍から奪ったものをなんとか隠そうと真柴少佐も頭を絞ります。

そして彼らは、隠した財宝をどうすべきなのか考えるようになります。上部の言うように最後の戦いに使うのか、それとも3人と女学校のひとびとだけの秘密として、封印してしまうのか…

軍の秘密に巻き込まれた女学生たちに服毒自殺強いるよう命じられた彼らはどう選択するのか。彼女らはどう選択するのか。

そしてそのときマッカーサーは何を思うのか。財宝は結局どうなったのか。

といった感じのお話です!

『日輪の遺産』の感想は?どうだった?

読めば勇気が湧いてくる。そんな作品です。

小泉中尉のする選択には全身鳥肌が立ちます。漢です。

普段粗野な物言いの軍曹が、田舎で畑仕事をする人々の思いを口にするシーンや母親との約束のシーン、女学生たちの選んだ道には涙が止まりません。

この作品を読み終えて、ぼくは、この小さく資源に乏しい日本という国の日本人として責任と誇りをもって生きていかなくてはならないと思うようになりました

そして、彼らほど大きなことはできなくとも、誰かのためになるようなことを人生のうちひとつでもやり遂げられたらと思っています。

『日輪の遺産』読んで何を思った?考察は?

ここからはネタバレが含まれてきます。ご注意ください!

テーマは、日本人の魂と誇りを取り戻すこと

WW2期に隠された宝物を、現在に探しだす物語。

その宝物は、米軍を攻撃するためではなく、戦後の日本人の暮らしのためにと封印されることとなります。

その財宝を守るため、そして日本を守るために才覚を発揮し、そして守り抜くために死を選んだ小泉中尉。

残された人々を飢えさせぬようにと財宝のありかを守り続けてきた軍曹(=金原老人)。死を選ばず、愛することを決めました。

そしてそれらを次の世代のぼくたちに伝える役割を果たすため、死を選ばなかった真柴少佐。

日本という国の未来のために、自らの命を絶つ決断をした女学生たち。

誰もが日本人として国を愛し、自分にできることを果たそうとしました

そんな彼らがしまった財宝を見つけ出すことは、現代の日本人が失いつつある誇りや魂を取り戻すことのメタファーなのではないかと思えてなりません。

戦勝国アメリカのマッカーサーが恐れた日本

戦後アメリカに占領された日本ではありますが、今となってはどうでしょうか。

日本産の車はアメリカを走り回り、企業も進出。

作中でマッカーサーが述べたように(もちろん創作ではありましょうが)、逆に日本がアメリカを席巻する部分もあるのです。

現代国際社会において日本のプレゼンスは、一時期に比べれば落ちてきたかもしれません。

今こそ、ぼくたちは日本人であることを思い出し、これまでの日本人に対する誇りと責任を胸に生きるべきなのではないでしょうか。

『日輪の遺産』のおすすめ度は?

ずばりおすすめ度は…

4.0

4/5点です!やっぱり高得点不可避ですね(笑)

それでは得点の内訳をみていきましょう!(それぞれの項目を0、0.5、1のいづれかで採点。詳細はこちら https://tacksamycket.com/first-posting/

価値観に影響、刺激をもたらしてくれるか

ここは1ポイント

この作品を読むまでは漠然と「戦争はよくない」とか「日本は戦争に負けた」とか浅い考え方しかしてこなかったぼくが、それらを人間の活動として認識するようになりました。

ロボットが戦争をしたわけではないので、目を凝らせばそこには必ずドラマがあり、人間たちの思いや願い、信念を見ることができるのではないでしょうか。

ただ遠くから、浅いものの見方で「戦争は悪い!」と叫ぶことよりも、それを理解したうえで個々のドラマに目を向け、当時の人々がどう考え、どう行動したのかに注目することのほうが、いまのぼくにはずっと面白く、身になると考えるようになりました。

知識を与えてくれるか

ここは0.5ポイントとしました。

戦時中の様子や軍隊の仕組みについて知ることができます。

特に陸軍内の様子については、作者が自衛隊にいた経験からか詳しく描かれています。

ただし、「こんなことがかつてあったのか!」と驚くような史実などは登場しませんでした(たとえば『壬生義士伝』では奥羽列藩同盟をはじめとした利害関係など目から鱗が落ちました)。

まあ少し無理がありますが多少無理して低い点にしないと全部5点満点になってしまうので許してニャン。

展開や構成が、読んでいて面白いものか

ここは迷う余地もなく1点です。

マッカーサーのお宝という設定がすでに面白いですよね!

そしてただの宝探しで話が進むのではなく、それぞれの立場(エリート軍人、東京帝大出のうらなり、田舎出身の暴れん坊、女学生)からそれぞれの思いが語られ、あるいは行動からそれが読み取れ、そして最後はお約束の号泣の時間です。

平成の泣かせ屋おそるべし!

その本独自の新しさを持っているか

ここも0.5点にしました。

軍資金のためにマッカーサーの財宝を盗み出し、それを隠すという極秘任務というのが新しさだと感じました。

また、物語が競馬がらみの出会いから始まるのも浅田次郎先生らしくて新しいと感じます。

WW2期のお宝を探し出す(蓋しこれは日本人の魂を探し出すことのメタファー)という設定は浅田次郎作品だけでみても『シェエラザード』にみられるように、この作品”独自”と言い切るのは難しいかもしれません。

もちろん、これが浅田次郎先生が大切にしている重要なテーマだからなのかもしれませんが、おすすめするにあたってあえて点をつけようとするとこうなります…

もちろんぼくは『シェエラザード』も大好きですし、両者の間には多くの相違点も見られます。こちらもぜひお楽しみください!

著者のほかの作品を読みたくなるか

ここは自信をもって1ポイントとします。

なんといっても、小説の持つ力強いメッセージです。

自分の胸に勇気と誇りを見つけさせてくれるほどまっすぐなテーマを描く浅田次郎作品。

ぼくは、ほかの作品ではどう胸を打ってくれるのかと期待せずにはいられませんでした。

実際ぼくがこの作品のあと続けて浅田次郎作品を追いかけたので1ポイントです。

おわりに

なんだか偉そうなことを書いてしまいましたが、もし気に障られましたらただの大学生の戯言とお聞き流しください(笑)

もちろん戦争はよくありません。しかし、戦争を嫌うことと軍人や祖国まで嫌うことは違うと思います。

かつての日本人はなぜ戦わねばならなかったのか。彼らは何と戦ったのか。ぼくにはここが重要に思えてなりません。

戦争という出来事よりも、そこに生きた人間にスポットライトをあてて、戦争という理不尽の中に生きた彼らの思いや願い、さらには彼らが命を懸けて守ろうとした日本の未来について思いをはせることが、今を生きるぼくたちに大きな力を与えてくれるのではないでしょうか

いろいろ書きましたが色々なことを考えさせてくれる作品です。泣きたい方、勇気が欲しい方、ぜひ読んでみてくださいね!

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コメント

  1. […] 浅田次郎『日輪の遺産』感想考察あらすじまとめ 4/5点浅田次郎『日輪の遺産』の紹介です。読めば勇気が湧いてきます。第二次世界大戦の最中にマッカーサーから奪った財宝。それを […]