夢野久作『瓶詰の地獄』あらすじ感想、解釈 筆者による地獄への招待状か

その他日本人作家

みなさんこんにちは!

だんだん寒くなってきましたね。体調はいかがでしょうか。

さて、きょう扱うのはこちら!

夢野久作『瓶詰の地獄』です!!!!!!!!

奇書として有名な『ドグラ・マグラ』の夢野久作の短編です。

ひとことでいうと、ビール瓶に入れられて海を流れてきた3枚の手紙を読む、ただそれだけの物語。

さっと読んだだけだと、ラストでおお~となる程度なのですが、考えれば考えるほど謎が深まっていく、そんな作品です。

それでは早速参りましょう!

『瓶詰の地獄』登場人物、あらすじ、内容

登場人物

太郎、アヤ子

無人島に漂流した男女。

持っていた鉛筆でノートに手紙を書き、ビール瓶に入れて海に流しました。

あらすじ、内容

ある島に、ビール瓶に入った手紙が3通流れ着き、発見されます。海流調査をしている海洋研究所へ参考にと送る旨の手紙で、物語が始まります。そこからは、その3通の手紙が並ぶだけ。

つまり、手紙4つだけで物語が完結しています。

第一の瓶の内容

この離島に、ついに助けの船がやって来た。最初の手紙が届いて、両親が助けに来てくれたのだろう。

しかし、私たち二人はたましいも肉体も罰せられなければならないので海へ身を投げて死にます、ごめんなさい。

第二の瓶の内容

乗っていたボートが波に襲われて、みんな流されてしまった。太郎とアヤ子はなんとか島に流れ着き、生活を始めた。

聖書を大切にし、祈りながら過ごしていたが、長い年月を過ごしアヤ子のからだつきが明らかに変わっていき、互いに想いあってしまいました。

肉体だけでも清浄なうちに、まごころを瓶に閉じ込めて海に流します。

第三の瓶の内容

(全文カタカナ)

父さん母さん、きょうだいで仲良くやっているから早く助けに来てよ

『瓶詰の地獄』考察、解釈

初めにした解釈:3→2→1

まず、読み終わった瞬間の解釈はこうでした。手紙が書かれた実際の順番は、第三、第二、第一の瓶という順番。

少しずつさかのぼるように手紙を読むことで、ふたりの犯した罪が最後に明かされてゾクゾクっとする仕掛け。

順番を決められなくする矛盾たち

一見、この流れが自然でまとまっているように感じたのですが、それでは済まない矛盾点がいくつも存在します。

①鉛筆の謎

第二の瓶に入った手紙の終わりには、もう鉛筆がなくなってしまうからこれ以上長く書けない旨が記されています。そして、第一の瓶の手紙は短いとは言えない。

ここから、2→1という順番が正しいのかという疑問が生まれます。つまり、第一の瓶のあとに第二の瓶の手紙が書かれたことが想像できます。

この矛盾を解消する手紙の順序:3→1→2 または 1→2→3

②順番に関する第一の手紙の記述

第一の手紙は、救いの舟を前にして手紙が書かれています。そして、「一番はじめに」出した手紙をみて父母が助けに来てくれたのだろう、と。

「一番はじめに」とあるということは、すでに複数の手紙を出しているということ。また、二枚目の手紙にビール瓶は3本しかなかったことが書かれています。ここから考えると、この第一の瓶は3番目、つまり最後に書かれているといえそうです。

この条件を満たせる手紙の順序:3→2→1 または 2→3→1

③手紙が同時に、同じ地域で見つかった謎

この3つの瓶を研究所に送る旨を記した手紙には、この3つが1里ほど離れてはいるにせよ、同時期に同じ地域で見つかったと書かれています。(流れ着いた時期はわからないが発見は3つ同時かのような書き方)

手紙の内容によると、3つの瓶それぞれには時間の隔たりがあります。たとえば、助けを求める手紙を出してから、助けの船が来た手紙の間。

しかし、それらが同じ地域に流れ着いたというのはいくら小説とはいえ都合がよすぎる気がします。ここに、何か意味があるのではないか。

さらに、3つが同時に見つかったことには重大な矛盾が潜んでいます。

だれも最初の手紙を見つけていないのに、助けの船が来るわけなくね?

現時点での解釈:夢野から読者へ「地獄」のプレゼント

ということで、3つの疑問点を挙げてみました。

まず、①と②の問題を同時にクリアできる手紙の順番は、ありません。

さらに、③でみたように、そもそも怪しい点の多い設定…。

ここから考えると、手紙がそもそも正しくないといわざるを得ないでしょう。そして、なぜ正しくないのか理由を探すとしたら、「3つの瓶を見つけた人物と主張する人物の捏造」でしょうか…

また、冒頭から手紙だけで物語が完結していることから、私たち読者は手紙の受取人つまり海洋研究所職員という設定と考えられるかもしれません。

読者が受取人なら差出人は、夢野久作なのでは!!!!!!!!

私たち読者が、夢野久作にからかわれているのではありませんか?!?!?!?!

そして、夢野久作本人は、こうして矛盾の地獄で頭を悩ませている私たちをみて、「これがほんとの『瓶詰の地獄』でございます、ひひひ」とニヤリとしているのかもしれません…

おわりに

いかがでしたか。

ネットで検索してみても、それぞれで見解の分かれているこの作品。皆さんはどんなふうに解釈しましたか? ぜひお教えください!

シェアやコメントお待ちしております!それでは!

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