アンデルセン『人魚姫』あらすじと考察  テーマと失恋の理由

小説

だいぶ春らしくなってきましたね!もうすぐ春休みともお別れです。

きょう取り上げるのはこちら!

有名なデンマーク人作家アンデルセンの作品の中でも有名な『人魚姫』です!

ひとことでいえば、人魚のお姫様が人間の王子様を好きになってしまい、美しい声と引き換えに足を手に入れて人間として王子様とくっつこうとするお話。

ロマン主義(それまでの啓蒙主義へのアンチテーゼであり、空想や直感を重視し、二元的価値観を特徴とする)の時代に生きたアンデルセンですが、北欧文学史はアンデルセンの前後で時代が分かれるといわれるほどの影響力を持ちます。

多くの方が小さなころに読んだことのある作品かと思います。それでは早速参りましょう!

『人魚姫』の登場人物やあらすじ、内容は?

登場人物

主人公 人魚姫

人魚のお姫様です。15歳になった彼女は海面へと昇り、王子様に惚れます。

王子様の乗っていた船が難破してしまい、人魚姫はあれる海から彼を助け出して浜辺へ届けます。そこへ修道女がやってきて王子様の介抱を始めたため海底のおうちへ帰ります。

おばあちゃんが言うことには、人魚が300年生きられるのに対して人間は少ししか生きられないが、その代わりに死なない魂が生き続けて天国へ行くのだそう。

死後あわになって海を漂うことになる人魚の長い一生よりも、人間になり死なない魂を得ることを望む人魚姫に、おばあちゃんは唯一の方法を教えてくれます。

それは、人間に心から愛され、結婚するということでした。

魔女

人間の王子様に愛してもらうために人間の姿を欲した人魚姫に、彼女の美しい声と引き換えに足を与えます。

ただし、その足にはすさまじい痛みが走り、もう元の人魚の姿に戻ることはできず、もし王子様がほかのひとと結婚してしまえば人魚姫の心臓ははじけ海の泡となってしまうという制約付きでした。

王子様

船が難破して死にかけたときに人魚姫が助けてくれたことは知りません。介抱してくれた修道女を恩人として覚えており、そしてその彼女こそを彼は想い慕い、その面影を探して生きています。

そんな修道女にどこか似ていると人魚姫のことを大切にし、どんなことがあっても離れずにいると述べます。

【ネタバレ注意】以降のあらすじ、内容

ナイフで刺されたような痛みのする足で踊り続ける人魚姫は、話すことができなくとも王子様の心をつかみます。

人魚姫との結婚をほのめかした王子様ですが、なんと隣町のお姫様と結婚することとなります。そのお姫様は、かつて彼を介抱した修道女だったのです。

運命的な再会に興奮した王子様は実際に命を救った人魚姫を選ぶことはしません。

そしてこれは、人魚姫が死んで海の泡となってしまうことを意味していました。そこで人魚姫のお姉さんたちが魔女に頼み、彼女を救う方法を聞き出します。

それは王子様の心臓をナイフで刺し、その地を足に浴びることでした。そうすればまた人魚に戻れるといいます。

しかし人魚姫は、そのナイフを捨て、自らの死を選びます。

泡になっていく人魚姫。そして彼女は空気の精となります。

ほかの空気の精たちのいうことには、善い行いをしていれば300年ののちに人間の魂が手に入るとのこと。

300年後を夢見る人魚姫に、精たちはさらにいいます。親を喜ばせるいい子に接して微笑むとそれはもっと早まり、逆に悪い子に接すると遅くなってしまうのだと。

ここで物語は終わります。最後のいい子悪い子の部分は、子供向けの作品らしく、「いい子にしましょうね」という意味で後から付け加えられたようです。

『人魚姫』の感想は?どうだった?

率直にいうと、「これ子供向け何ですか…」ってなりました(笑)

子供のころ読んだり、読み聞かせて貰ったりしたはずなのですが全く内容を覚えていなかったぼくには衝撃的でした。

人魚姫の足の描写はあまりに痛々しいですし、そんな思いをした彼女の恋は叶いません。

さらにさらに、魂という概念にまで話は発展していきます。ぼくの記憶がほとんどなかったのは、当時のぼくに物語の意味が分からなかったからなのかもしれません。

それから、アンデルセンは色に対する意識が高いようで、鮮やかな色の対比が印象的です。

『人魚姫』読んで何を思った?考察は?

テーマは愛の形

ずばりテーマは、本能的な愛から無償の愛への昇華ではないでしょうか。

この無償の愛とは、キリスト教的な価値観で重要視されるものですね。もちろんアンデルセンはクリスチャンです。

人魚姫ははじめ、恋をした王子様のために自分の痛みを我慢します。しかし最後のシーンとなると、彼女の愛は王子様だけではな死を前にしたひとびとにも向けられます。

海に住んでいた彼女は泡となり、上へ上へと進んで精となります。この人魚姫の愛の形における昇華(上へ上へという動き)が、キリスト教的価値観に照らし合わせるとテーマのように感じられます。

人間らしくいきるとはどういうことか

設定では、人魚たちは涙を流すことができません。

涙を流せないため、悲しみにであうと人間よりも苦しい思いをしなければならないとのこと。

ここにアンデルセンの考える「人間らしさ」が描かれているように思います。

人魚姫の恋がかなわなかった理由

これは、アンデルセンのしてきた恋愛が人魚姫に投影されているように思えます。

『人魚姫』の発表は1837年。アンデルセンはこの年までに、リボースとルイーセというふたりの女性にアプローチしますがいずれも失敗しています。

しかも、ふたりめのルイーセはアンデルセンが彼女のための自伝を書いているところでほかの男と婚約してしまいます。

どうでしょうか、『人魚姫』の物語とかぶるところがあるように思えてなりません。

『人魚姫』のおすすめ度は?

ずばりおすすめ度は…

4.0

4/5点です!
それでは得点の内訳をみていきましょう!(それぞれの項目を0、0.5、1のいづれかで採点。詳細はこちら https://tacksamycket.com/first-posting/

価値観に影響、刺激をもたらしてくれるか

ここは0.5ポイントです。

児童向け文学と思い込んできた『人魚姫』ですが、一概にそうとは言い切れぬ部分を持っていることに気づけました。

文学作品はそう簡単に枠に収められるようなものではないと痛感しました。

知識を与えてくれるか

0.5点としました。

日本にいてはなかなか感じることの出来ないキリスト教の考え方を経験することができます。

展開や構成が、読んでいて面白いものか

ここは迷わず1点です。

まず主人公が半分魚の人魚であり、それが人間と恋をすること、そしてまさかのその恋がかなわないという結末。文句なしです!

その本独自の新しさを持っているか

1ポイントです。

先と重複しますが設定が面白いです。

魂を獲得する方法や条件など、普通に生きていたら絶対に思いつきませんよね…

著者のほかの作品を読みたくなるか

1ポイントです。

『みにくいアヒルの子』など、小さいころから触れてきたアンデルセンの作品にいまもう一で触れてみたら面白いことでしょう。と思い、ほかの作品も読みたくなりました。

おわりに

いかがでしたか。

小さいころのあいまいな記憶のままにせず、今もう一度あの頃の本を読んでみる。

するとずっと多くのことが見えてくるんだということがよくわかる経験となりました。

北欧を代表する作家(彼はかつてダンサーや歌手を目指したそうですが)アンデルセンの作品を紹介しました。

みなさんの好きなアンデルセンの作品はなんですか?是非教えてくださいね!

シェアやコメントお待ちしております。みなさんの推しメンも教えてくださいね!よろしくお願いします!

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