イプセン『人形の家』あらすじと考察 自然主義劇作家の代表作

イプセン

急に春らしくなってきましたね!もう春眠は暁を覚えそうにありません。

きょう扱うのは小説ではなくこちら!

ノルウェー人劇作家イプセンの『人形の家』です!

シェイクスピア以降、世界で最も上演されているというイプセンの代表作ですね。

自然主義作家としてもおなじみです。田山花袋をはじめとして、日本の自然主義文学にも影響を与えています。

『人形の家』は、ひとことでいえば、仲良し夫婦の妻ノラが夫ヘルメルに黙ってした借金がばれ、その後のごたごたでノラが人間として生きることに目覚める物語です。

イプセンの名を世界に知らしめた作品です。

それでは早速参りましょう!

『人形の家』の登場人物やあらすじ、内容は?

登場人物

主人公 ノラ

ヘルメルの妻。夫に猛烈にかわいがられています。

かつてヘルメルが病に臥し、その治療のための旅行費に困った際に夫に黙って父親(こちらも病のためしかたなしに)のサインを捏造し、借金をしました

ヘルメル

ノラの夫。弁護士です。ノラをかわいいかわいいと大切にします

部下のクロクスタとそりが合わず、もうじき解雇しようとしているところです。

クロクスタ

ヘルメルの部下です。ノラにお金を貸したのがこのひと。

サインの捏造というノラの弱みを握っています。偽のサインが書かれた借用書を公にされれば夫妻は破滅です。

解雇を取り消してもらおうとノラに接触してきます。

【ネタバレ注意】あらすじ、内容

ここからはネタバレを含みます、注意してくださーい

仲良し夫婦のノラとヘルメル。そこへ、ヘルメルの留守を見計らってクロクスタがやってきます。

クロクスタはノラに、解雇を取り消すようヘルメルに働きかけることを求めます。

さもなくばサイン捏造の過去を夫ヘルメルにばらすと脅されたノラは、クロクスタに従ってヘルメルと話をしますがうまくいかず、結局クロクスタは解雇されてしまいます。

それを受けてクロクスタはサインの捏造について手紙を書き、ヘルメルにすべてを伝えてしまいます。

それを知ったヘルメルは激怒し、ノラに罵声を浴びせます。

しかしそこへもう一通の手紙が。

そこにはノラが偽のサインを書いた借用書があり、クロクスタはそれを公にするのをやめ、借用書を返すと伝えてきます。

破滅の危機が去ったヘルメルは、さっきの態度は嘘のようにまたノラをかわいいかわいいと愛し始めます。

しかしノラは、自分が「人形として」扱われていることに気が付き、夫と子を残して家を出ていきます。

『人形の家』の感想は?どうだった?

話も短く、登場人物も多くはないシンプルなつくりの戯曲ですが、「女性の解放」というテーマが力強く感じられる作品です。

キリスト教世界での常識を打ち破るような内容に驚きながら読みました。

彼の作品が世界中で演じられているのも納得できる、そんな作品です。

そしてなにより、「自然主義とはなにか」と考えるきっかけとなってくれた作品です。

『人形の家』読んで何を思った?考察は?

ノラはなぜ家を出たのか

ノラは、サインの捏造を知り怒鳴るヘルメルが、破滅を免れたとたん優しくなったのをみて気づきます。

自分は人形として扱われている。つまり人間として扱われていない。

「かわいいとか何とか言って、面白がっていただけよ」「あたしを赤ちゃん人形と呼んで、あたしが自分の人形と遊ぶように遊んだわ」

病気のヘルメルを救うためにやむを得ずサインの捏造をしたノラは、自分の無力さや信用のなさを痛感したことでしょう。

困ったことや秘密、苦悩も共有できない夫婦生活。

それまでは大切にされていたものの、それはひとりの人間として愛されていたのではなく、キリスト教的価値観の規定する「女」として扱われていたにすぎなかったのです。

「女はかくあるべし」という夫や子供への義務ではなく、「自分はこうありたい」という自分自身に対する義務のために彼女は家を出る選択をしたのだとぼくは理解しています。

『人形の家』のなにが新しかったのか

ルター派が多数を占めるキリスト教の国ノルウェーにおいて、当時の女性の置かれた状況を描き出したのが『人形の家』です。

女性は夫と子に対する義務があり、そのために家庭にあり、決して夫と対等にものを言ったり考えたりすることができない当時の価値観からノラは脱出します。

ノラの選択は「古い慣習や規律からの脱出」のメタファーであり、宗教や規範を排して人間のありのままの姿を描こうとした点がイプセンの新しさです。

そしてこれこそが「自然主義文学」の特徴であるとぼくは考えています(たとえば日本の自然主義文学として有名な田山花袋『蒲団』も、教師の生徒への愛という儒教的価値観における絶対的タブーを犯すという特徴がみられます)。

『人形の家』のおすすめ度は?

ずばりおすすめ度は…

4.0

4/5点です!

早速内訳を確認していきましょう!(それぞれの項目を0、0.5、1のいづれかで採点。詳細はこちら https://tacksamycket.com/first-posting/

価値観に影響、刺激をもたらしてくれるか

こちらは1ポイントです。

自然主義文学とはなにか、人間として生きること、「自分自身に対する義務」とはなにか。

短い文章の中に、力強くテーマが描かれています

知識を与えてくれるか

こちらは正直0ポイントとしました。

そもそも短いですし、これは知らなかった!というタイプの驚きを提供するタイプの作品ではないかなと感じます。

展開や構成が、読んでいて面白いものか

1点です。

ノラがヘルメルに怒鳴られて家を出るなんてありきたりのストーリーではありません。ノラが家を出るまでの家庭が想像を超えてきます。

家を出る決意をしたノラの格好良さにもしびれます。

その本独自の新しさを持っているか

迷わず1ポイント。

だから自然主義なんです。

著者のほかの作品を読みたくなるか

1点です。

わかりやすく、そして力強くテーマを伝えてくるイプセンに魅せられました。

実際にぼくは『小さなエイヨルフ』も読み、劇まで見に行きました!

おわりに

いかがでしたか。

100年以上前に書かれ、今なお世界で演じられるイプセンの『人形の家』。

女性解放に大きく貢献した自然主義作家の代表作。

ぼくの拙い文章ではその魅力は決して語りつくせていませんので、みなさま是非読んで、感想や意見をお聞かせください!

シェアやコメントお待ちしております!よろしくお願いします!

コメント

  1. […] イプセン『人形の家』あらすじと考察 自然主義劇作家の代表作イプセン『人形の家』の紹介です。自然主義作家であり、女性解放運動にも大きな力となったノルウェーの劇作家イプセ […]