イプセン『幽霊』あらすじと考察 身近にひそむ因襲の幽霊

イプセン

こんにちは、GWものこりわずか。皆様いかがお過ごしですか。

今回紹介するのはこちら!

ノルウェー人劇作家イプセン『幽霊』です!

『人形の家』などで評価を得たイプセンでしたが、この『幽霊』は内容があまりにショッキングでなかなか受け入れられなかったそうです。

ひとことで言えば、、、ひとことでまとめられるような作品ではありません!

それでは早速参りましょう!

『幽霊』の登場人物やあらすじ、内容は?

登場人物

アルヴィング夫人

金持ちだった夫の遺産で孤児院を建設。

ひとり息子のオスヴァルが大好き。

かつて夫のもとから逃げ出すも、家に戻されるという事件がありました。

オスヴァル

アルヴィング夫人の息子。画家です。

幼くしてパリへ渡り、孤児院開設記念式典を機に実家へ帰ってきました。

マンデルス

牧師です。

孤児院の建設に関する書類の整理などのお手伝いをしています。

アルヴィング夫人の脱走事件の際には夫のもとへ戻るよう説得したのは彼です。

キリスト教的な、父や夫、息子に対する義務を重んじます。

レギーネ

アルヴィング夫人の召使。

父親は指物師のエングストランです。

あらすじ、内容

ここからは大いにネタバレを含みます。ご注意ください。

夫の名誉の証として建てた孤児院開設にともなう記念式典を目前に控え、息子のオスヴァルがパリからアルヴィング夫人の家へ帰ってきます。

マンデルス牧師は、かつてアルヴィング夫人が夫のもとから逃げ出したことや、息子を若くして海外へやり、夫や息子への義務を投げ出したと話します。

そして、それへの反論としてアルヴィング夫人は夫の本当の姿を話し始めます。

夫は家の外で遊びまわっており、ふしだらな生活を送っていたこと。当時の召使ヨハンナにまで夫が手を出していたこと。そして、実はその間に生まれたのが今の召使レギーネであること。

そんな話をしていると、食堂から声が聞こえてきます。なんと、オスヴァルがレギーネに手を出していたのでした。

それをみて夫人は言います。「幽霊」がかえってきたのだと。

さらに、そこへ悲報が。なんと、孤児院で火事が起きたのです。

ふしだらな夫の遺産を残すまいとして偽善にお金をかけてきた夫人。火事の後に残ったすべての権利をマンデルス牧師に譲渡します。

そしてオスヴァルとレギーネに、ふたりが腹違いの兄妹であることを告げます。レギーネは家を出ていき、母子二人の時間が訪れます。

オスヴァルは、母親に自分が不治の病であり、まもなく死を迎えるはずであること、病によってもう絵が描けなくなってしまったことを話します。

そして、生きる喜びだったレギーネまでも失った彼は、昇ってくる太陽に背を向け、太陽太陽とつぶやきながら母親の前で最期を迎えるのでした。

『幽霊』の感想は?どうだった?

鳥肌がすさまじい作品です。

特に最後のシーンは、自分が空を飛べるのではないかと感じるほど鳥肌が立ちました。

そして、やはりぼくごときが完全な理解ができるような単純な作品ではないとも感じます。

不倫や近親相姦などが描かれ、当時の世間にすんなりと受け入れられなかったのも納得ですし、それでもなおしっかりと評価を得て今に伝わっているところにこの作品のすごさが見える気がします。

『幽霊』読んで何を思った?考察は?

「幽霊」とはなにか

作品の題にもとられている「幽霊」ですが、これは何を指しているのでしょうか。

オスヴァルがレギーネに手を出しているのを見て、アルヴィング夫人は幽霊がかえってきたと述べます。そして、以降の夫人の台詞から「幽霊」の特徴をまとめるとこんな感じです。

  • わたしたちはみな幽霊に取りつかれている
  • 父母から遺伝するものである
  • あらゆる滅び去った思想や信仰
  • 生きているのではなく、しがみついているだけなのに追い払えない

そして、オスヴァルを診察したパリの医者は、オスヴァルに生まれながらの虫食いがあること、親の罪は子が償いをさせられるということを伝えます。

ここからぼくが考えた「幽霊」は、

  • 本質を伴わない、見せかけだけの受け継がれてきた信仰や慣習
  • 未来を滅ぼしてしまう

です。「幽霊」によってオスヴァルは命を落とすことになり、アルヴィング氏の遺産は火事で失われます。

意味を持たない慣習や信仰にとらわれ続けると破滅を招くことになる、というのが描かれているのではないでしょうか。

おわりに

いかがでしたか。

実のところ考えれば考えるほど「幽霊」がなにかわからなくなってしまい、現時点での自分の考えを書いてみることにしました。

身近に潜む因襲の幽霊。1世紀以上を経てもなお、イプセンの示す世界の問題点は打破されていないように思えます。

みなさまがこの作品を通して何を考えたか、「幽霊」とは何であると考えるか。ぜひぜひ教えてください!

シェアやコメントお待ちしております!それでは!

コメント

  1. […] イプセン『幽霊』内容と考察 身近にひそむ因襲の幽霊イプセン『幽霊』の紹介です。放蕩な夫の遺産で偽善行為をしてきたアルヴィング夫人。そこへ息子が帰ってきたとき、因襲の「 […]